神戸周辺の市民が神戸製鋼を提訴 仙台に続き2例目の訴訟

2018年9月14日、石炭火力発電所の建設と稼働差止を求めて、神戸周辺の市民が神戸製鋼を提訴しました。

神戸製鋼が神戸市灘区で計画している発電所「神戸発電所3号機・4号機」は、既に稼働している2基(いずれも石炭)に加えて建設される各65万kWの大規模な石炭火力発電所です。当然ながら膨大な量のCO2排出が見込まれ、150万世帯分の排出量と同等の692万トン/ 年にも及ぶと予測されています。また、建設予定地は住宅地からわずか400mしか離れておらず、しかも当該地域はかつて公害被害のためにたくさんの人々が健康を脅かされ、環境を改善しようと努力を続けてきた場所でもあります。

市民側は計画当初から反対を続け、さらに神戸製鋼の神戸製鋼のデータ改ざん問題を受けて、同発電所のアセスに関するデータの検証やアセスやり直しを求めてきましたが、今夏、それぞれ2021年、2022年の稼働に向けて環境アセスメントが完了してしまいました。

そこで市民はなんとしても建設・稼働を差し止めようと今回の提訴に踏み切ったのです。建設・稼働の差止めを求める理由・法的根拠として以下の点をあげています。

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①本件石炭火力発電所の建設・稼働は、原告らの人格権を違法に侵害する
・清浄な空気のもとで持続的に健康で平穏に生活する権利(健康平穏生活権)の侵害
 新設発電所は、NOx、PM2.5など大気汚染物質を長期継続的に排出し、原告らの生命・健康への危険を増大させる。
・安定した気候を享受する権利(安定気候享受権)の侵害
 新設発電所は、大量のCO2を30年以上にわたり排出する。そのことにより、確実に気候変動に寄与し、結果として原告らの生命・健康・生活基盤への危険を増大させる。
・加害行為は長期にわたって継続し、被害を被る者の範囲は極めて広い。

②2030年および2050年の日本の温暖化対策目標とも整合しない

③住宅地の資金、大気汚染物質規制地域・基準未達成地域にあえて大量排出源を作る計画である。

④電力需給の面からみて、本件発電所の建設・稼働の必要性(公益性)がない

⑤環境負荷の小さい他の代替案(たとえば天然ガス火力)について検討もせず、CCS(炭素回収・貯留)も備えていない

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この訴訟では、おじいちゃん・おばあちゃん世代、お母さん・お父さん世代、こどもたちが原告となり、「汚染も気候変動による被害もない地球を次の世代に引き継ぐための『次世代訴訟』」(訴訟概要資料より)として闘う決意です。

日本全国で石炭火力発電に対する市民の反対は強まるばかりです。事業者はこの現実を直視し、事業を再考する必要があります。

★詳しくは神戸の石炭火力発電を考える会のウェブサイトをご覧ください。

神戸の石炭火力発電問題って何?

訴訟について

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