<報告>10月30日、第12回期日が開かれました

10月30日(水)14時から第12回目の法廷が開かれまし た。約20名の原告が傍聴にかけつけてくださいました。被告側も10数名程度と今までになく大勢来ておりました。大阪地裁にいる内山専門委員がテレビ会議方式で参加する、最後の回となりました。過去2回と同様、405号法廷での 約1時間半の法廷でした。閉廷後弁護士会館401号室に移動し、この日の主な論点などをめぐって、主に高橋弁護団 長から解説がありました。

1.当日の主な論点

今回の最大の注目点は、最終準備書面の提出期限が3月27日に、結審(裁判の審理の終了を意味します)の予定 が3月31日16時からに決まり、そこまでの日程も明確になったことです。判決日がいつになるのかは、結審の日に確定いたします。 裁判長からまず、

1)疫学的早期死亡者数の推定の信用性、
2)推定に用いた大気拡散モデル(カルパフモデル)の信用性、
3)受忍限度論の補充、
4)原告への具体的影響に関する尋問

の大きく4つの争点があるという現時点での整理が示され、以下のように日程が確定しました。

1)については次回11月29日までに甲A30号証の信用性について原告・被告双方が準備書面を提出する。

2)については原告側が11月29日までに意見書を提出する。

3)については原告側からの「求釈明」に対して被告側が対応を検討し、11月22日までに回答する。それに対して原告側が12月27日 までに反論の準備書面を提出する。

4)については、原告側が2~3人の尋問を請求する。2~3人の原告に対して 法廷で、原告側と被告側の弁護士がそれぞれ質問をし、具体的にどのような被害があるのかを説明してもらいます (これを「尋問」と言います)。尋問の期日は2月5日(水)10 時からとなりました。この日、原告側による主尋問、被告側による反対尋問が行われます。

内山専門委員からは「原告質問事項に対する回答書」が 提出され、回答の要点について口頭での説明がありました。これまでの内山専門委員の見解を整理した内容で、とくに新しい論点はありませんでした。

①原告側はPM2.5による健康被害に閾値はないという主張だが、PM2.5による健 康被害に閾値(いきち、これ以下は安全であるという境界) があるかどうか断定することは難しい。

②PM2.5の環境基準を、米国が2013年から年間12μg/m3以下に引き下げた(そ れ以前は日本と同様に年間15μg/m3以下だった)のと同様に引き下げるべきかについては、現在の環境基準に満足しているわけではなく、環境基準の年間15μg/m3以下を 目指している。必要に応じて環境基準の見直し作業が行われることになる。

③原告側は、世界規模の疾病負荷を定量化したGlobal Burden Disease(GBD)プロジェクトと同様の方法で死亡者数計算をしたとのことだが、この方法は大気汚染濃度がある程度高い、しかも国やヨーロッパ、東南アジアなどの広範囲の地域を対象に、さらに濃度が増すような場合に超過死亡数を推計するのには有用だが、低濃度の狭い地域に、本来10μg/m3単位の推計式を増し分が 0.1μg/m3以下の場合に適用するには、誤差の大きさなどについて注意が必要である。

甲A30号証では多くの不明点と問題点が修正されたが、各疾患別死亡数は、WHOのデータベースではなく、宮城県のデータを使用すべきだった。本来モデルの推計値は、実測値と比較して検証すべきである。

⑤日本の石炭火力発電所建設問題については、 エネルギーの専門家ではないため、個人的意見を述べる。原則的には石炭火力発電所を新たに作る必要はないと考える。石炭火力発電所を新たに作る場合には、BAT (Best Available Technology)を用いるべきだ。 内山専門委員からのこの回答書に対して、原告側は、準備書面を提出する予定です。

2.今後の進行

次回以降の法廷は、11月29日(金)13時半から、および 1月22日(水)10時半からとなりました。11月・1月の法廷の 傍聴もよろしくお願いいたします。

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