提訴にいたるまで

2014年、仙台パワーステーションの計画があきらかに

2014年9月、仙台市宮城野区に石炭火力発電所の建設計画があることが報道で
あきらかになりました。
この計画が、関西電力および伊藤忠商事の子会社によってつくられた「仙台パワーステーション」です。
仙台PSは、設備容量が11.2万kWと、環境影響
評価法に基づく環境アセスメントの対象規模(11.25万kW)をわずかに下回る「小規模火力発電所」です。
さらに当時は仙台市の環境影響評価条例では、石炭火力発電所が対象となっていなかったため、
市の条例による環境アセスメントも行われませんでした。

 

住民説明会の要請を無視

報道の後、市民が電話などで説明会の開催を要請しました。しかし仙台PSは一切応じず、発電にともなう影響を含めた情報はほとんどあきらかにすることなく、着々と工事を進めてきました。また、仙台PSと「仙台パワーステーション株式会社の公害防止に関する協定書(以下、「公害防止協定」)」を結んでいた宮城県、仙台市、多賀城市、塩釜市、七ヶ浜町、利府町、名取市の7つの自治体も、住民とのコミュニケーションがない状況をまったく問題視していませんでした。

仙台PSの姿勢に疑問をいだいた市民は、2016年8月に仙台市や宮城県の環境担当課を通じて仙台PSに対して説明会の開催を求めました。仙台市や宮城県の担当者は、直接仙台PSを訪ね、住民に対して説明するように求めましたが、仙台PSは、「疑問点があれば文書で送付するように」との文書を送付してきたのみでした。その後も郵便でのやり取りがくりかえされました。

 

2016年、市民グループ結成へ 

疑問を抱く市民が増えつづけ、2016年10月に「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会(以下、「考える会」)」が発足しました。
考える会は、宮城県議会の与野党議員にはたらきかけ、超党派の議員主催の仙台PS建設問題に関する勉強会で問題点などを説明。
これは、その後の宮城県議会でさかんに仙台PS建設問題が取り上げられるきっかけとなりました。

 

また2016年12月14日には、考える会が「仙台PS建設問題に関する公聴会の開催を求める請願書」を提出し、2017年2月17日には、宮城県議会本会議にて請願が採択されました。
これらの動きから、仙台PSは3月8日夜にようやく住民説明会を開催。
会場を埋め尽くす500名もの参加者が集まりました。
被災地を狙い撃ちしたとしか思えない仙台PSのやり方に非難や稼働中止を求める声が多数上がりましたが、仙台PSは「関係法令を順守し、必要な手続きは行っており、全く問題はないと考えている。」と回答しました。

2017年、ついに裁判へ 仙台PSの操業差止めを求める

この姿勢は、多賀城や七ヶ浜での説明会の開催時(6月、7月)も、近隣市町村の住民や全国各地からの署名が総数47,599筆も集まっても(2017年9月29日現在)全く変わっていません。
そして、仙台PSは住民の不安の声を無視して、2017年6月12日に試運転を開始。
一向に変わらない仙台PSの不誠実な対応に、
ついに市民は操業差止めを求める裁判に踏みきり、9月27日、仙台地方裁判所に提訴しました。

 

このような状況を受けてもなお、当初予告していた通り、10月1日には営業運転を開始しました。

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