2月17日第13回口頭弁論レポート

2月17日(月)10時から、仙台地方裁判所で、ついに被告仙台パワーステーション株式会社代表取締役社長砥山浩司氏への尋問が行われました。いろいろな意味で、大変興味深い回答でした。2/18の河北新報にも紹介されています。
とくに唖然とさせられたのは、仙台PSが地元住民にとってどんなメリットがあるかを問われた際、「地元住民にメリットがあるかないか考えたことがない」と正直に答えられた点です。傍聴席からは失笑が漏れました。「石炭を荷揚げできる港、送電線の容量、工業用水、建設用地、建設資金」にしか、砥山氏の関心はなかったようです。砥山氏の経営者としての自覚・倫理観・責任感の乏しさに愕然としました。
被告側は、裁判に入ってから突如「仙台PSの稼働前後において周辺の大気環境に有意な差がみられるような変化は生じないことを確認するなど、自主環境影響評価を行っている」と強弁しはじめました(被告準備書面(1)p.5, )。しかし被告側主尋問において、「環境影響評価と同じ手法で大気拡散のインパクトの評価はした」と述べるにとどめ、被告側は「自主環境影響評価を行っている」という主張から大幅に後退しました。
パリ協定成立以後の石炭火力に対する国際的な逆風を認識していることを認める、「木質バイオマスの混焼の可能性は検討しているが、結論には達していない」などの興味深い発言もありました。
関西電力の石炭火力・舞鶴(おそらく1号機か。90万kW、2004年操業開始)の環境影響評価では、40億円がかかったとも述べていました。仙台PSの場合には、アセスを免れたことによって、数億円分とアセスに要する約2年間を節約できたことになります。
裁判官(右陪席)からは、説明会開催にあたって、行政とどのような協議があったのか(行政側から指導されて、イヤイヤながら説明会を開催したのではないか、という趣旨か)経緯をたずねる質問がありました。
中島裁判長からは、1)公害防止協定第20条(「環境情報の公表や事業所の公開等,地域住民に対する環境コミュニケーションを積極的に推進する」)に関して、仙台PSとして、これを守っていると考えているのか、いないのか、という端的な問い詰めがあり、追い込まれた砥山社長は「不十分とは認識している。改善していくべきと認識している。今後はできるだけ丁寧に回答していきたい」と低姿勢となりました。2)PM2.5による健康影響の不安についても尋ねられ、「PM2.5については規制がない。規制があれば対応を検討する」という居直った回答でした。

なお河北の記事中、「原告側は(中略)、半径5キロ圏を中心に40年で約960人が心筋梗塞などで死亡する恐れがあると主張」は誤りです。「原告側は(中略)、年間約9.7人(40年で約388人)が心筋梗塞などで早期死亡する推算結果を得たと主張」と記述すべきです。

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