11月29日(金)13時半から第13回目の法廷が、308号法 廷で開かれました。約25名の原告が傍聴にかけつけてくだ さいました。被告側の傍聴者は5名程度と見られます。
1.当日の主な論点
今回の最大の注目点は、被告代表者として仙台パワーステーション株式会社・代表取締役社長砥山浩司の尋問が認められたことです(その後、2月17日(月)10時からに確定)。裁判官3名が一時退席し、3名の合議によって尋問を認めることを決定しました。被告側がまず陳述書を提出し、尋問時間は被告側弁護士による主尋問40分、原告側弁護 士による反対尋問40分ということになりました。 公害・環境裁判に関する法学的研究の第一人者淡路剛久先生(立教大学名誉教授)に直接お尋ねしたところ、刑事訴訟では例があるが、日本の公害・環境問題に関する 民事訴訟で、被告企業の代表取締役社長が法廷で尋問を受けるというのは大変画期的で、おそらくはじめてだろうということでした。被告代表者の砥山浩司は、親会社の関電エネルギーソリューションの取締執行役員(電力本部長)を兼務しており、首都圏への電力供給の責任者です。
他に4つの争点が扱われました。 第1の死亡者数推定の信用性については、今回、原告・ 被告双方が、原告側が死亡者数推定について修正した甲A30号証の信用性に関する準備書面を提出し、主張・立証は一応終了しました。 第2の大気拡散モデルの信用性については、原告側は、大気拡散の推定に用いたカルパフモデルが信用に足りるとする河野仁兵庫県立大学名誉教授の意見書(甲A35号証)を提出しました。被告側が反証等を行う場合、1月15日までに提出することになっています。 第3の受忍限度論については、被告側が再度の求釈明 に回答しないことを踏まえて、原告側は、12月27日までに 準備書面を提出することになりました(被告による仙台PSの 操業は受忍限度を超えるとする旨の第13準備書面として提出)。 第4の個別原告への影響については、原告が証人を申 請した3名に関して、2月5日(水)に尋問を実施することが 決定しました。いずれも原告側弁護士による主尋問30分、被告側弁護士による反対尋問30分、反対尋問を受けて、原告側弁護士による補充尋問10分の計70分が予定されています。 原告の須田冨士子さんが10時30分から11時40分まで、
昼食休憩をはさんで、原告の村田ちひろさんが13時30分から14時40分まで、原告で医師の水戸部秀利さんが14時50分から16時までと予定されています。3人がそれぞれ、仙台PSの操業による影響や被害について文書で説明した陳述書を、1月22日までに提出することになっています。
2.今後の進行
次回の法廷は、1月22日(水)10時半からとなりました。2 年前、2017年9月27日の提訴から始まったこの裁判も、結 審まで残り2ヶ月半となり、大きな山場を迎えることになりました。今後のスケジュールは下記のとおりです。とくに2月5日(水)の原告側尋問、2月17日(月)の被告仙台PS社長の尋問は重要です。3名の原告が被害の現状をどのように訴えるのか、被告の社長砥山浩司が、被告企業の対応をどのように説明するのか。ご自分の目と耳で直接、確かめてください。傍聴者で、法廷を埋め尽くしましょう。